仏壇に代わるもの

今、仏壇があるご家庭はどれくらいあるのだろうか?
首都圏では、一軒家で且つ仏間がないところではほぼ仏壇があるご家庭はないと思ってもいいだろう。
余程、昔から仏壇があるご家庭でない限り、とくにマンションにお住まいの方々は仏壇とのご縁は皆無に近いだろう。

私も、日本葬送文化学会の研修旅行や多くの展示会を参考にしながら、首都圏では仏壇が消える運命だろうとつくづく感じている。そもそも、仏間がない建物が多いだけではなく、あったとしても、仏壇を置く領域が土地(床面積)の費用対効果に合わず、そのスペースがもったいなく感じる人が多いはず。仏壇を置くには冷蔵庫1台分のスペースが必要だ。

今年のフューネラルビジネスフェアとエンディング産業展で仏壇メーカーさんが展示されていたのは言うまでもない。
仏壇と言うのは何か?そこを明確に打ち出せない限りは仏壇は今後、全国の主要都市で消えていくだろうと危惧している。
そもそも、仏壇と言うのは、故人の「家」でもある。
亡くなった人をそこに祀り(まつり)、生きている人たちと一緒に暮らす場所でもある。
祠(ほこら)が神様の場所でもあるように、仏壇は亡くなった人の身近なお参りする場所でもある。

うちも、実家が葬儀屋であり、子供の頃、仏壇を売っていたのを覚えている。
爺さまが、仏壇を仕入れて、展示していた時代があった。
会社名も「和田葬儀社」でもあり、「和田葬具店」でもあった。
仏壇以外に位牌や骨瓶もあった。今でも位牌は式場の打ち合わせ室に飾ってあり、お客様が実物を見ることができる。しかし、仏壇を置くとなると、広い式場でもやはりスペースが惜しくなる。もう20年以上前に事務所からは仏壇を撤去したし、管理が大変なので(埃だけではなく、置く場所によっては陽射しが当たるので色が褪せてしまう問題があり)すべてを撤去し、位牌だけを展示することになった。

前置きが長かったが、仏壇に代わるものがあるだろうか?
答えは「イエス」だ

エンディング産業展で秋田の仏壇屋さんが展示をしていた。上記に書いた課題を投げかけてみた。
確かに見た目はすごく美しい工芸品の仏壇だ。これを設置するスペースは田舎にあっても、都会にはないと。
葬送文化を継承していくと言うのは、日本の死生観の文化を重んじることでもある。
そんなもの要らないって言ってしまえば身も蓋もないが、過去から学び、未来を創造しなければならない。

では、どんな代用品があるか?

大きい仏壇は要らないと言うご家庭はかなりある。
それなら小さい仏壇が答えなのかと言えば、それはノーである。
「現代仏壇」をご存知だろうか?
イタリアン家具みたいなデザインをした仏壇で、ファーニチャーみたいな仏壇である。
今までの重苦しい雰囲気の仏壇とは大違いだ。
実は、これですら現在失速している。
やはり仏壇と言うイメージを払拭できない。
そう、それは「仏壇」だからだ。

この様なものだとあくまでも仏壇である

では、手元供養品は残るか?

それは「イエス」だ。それは仏壇に置く必要がないのと、持ち歩く(手元に置く)ことができるので。
でも、これすら落ち着き場所が必要だと感じる。

多くのご家庭や環境を見てきた中、手と手を合わせることができるお参りの場を省スペースで提供できる仕組みが求められている。そこには、ちょっと低いタンスの上に置けるような仏具が必要だ。
位牌、写真、線香・ロウソク、お花または手元供養品を小さく飾れる場所があるといいだろう。
そして、仏壇みたいに重苦しい雰囲気ではいけない(現代仏壇が提供しているように)ことは重要だ。

大昔、正太郎くんが鉄人28号を小型コントローラで操縦する箱のような形のものでじゅうぶんだと言うことです。やはりイメージは大切です。
玄関先に置きつつ違和感ないデザインが望ましいとつくづく感じました。

たぶん、今後はこのようなデザインで、マントルピースみたいなものが望まれるのではと。
http://www.sakurashop.co.jp/products/sakuradesign/b4.htm

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