遺骨の扱い

日本では、よほどでないかぎり(特別な事情がある外国人とかでない場合)は人が亡くなりますと火葬します。
そして遺骨として戻ってきます。

今、問題となっているのは「ゼロ葬」と言うことです。
「ゼロ葬」と言うのは、葬儀を行わないと言うのではなく(もちろん「儀式」と言うのではなく、火葬のみの定義ですが)、そこには遺族すら立ち会わないと言うことで、「遺族がゼロ」と言うのが「ゼロ葬」のことです。

私が所属している「日本葬送文化学会」の2月の定例会にて岐阜県のメモリアグループの松岡会長のご講演の中でとうとう岐阜にまでも「ゼロ葬」が訪れてしまったかと。都会ではありがちなのは、人とのつながりが極端に薄れているのもありますが、岐阜の大垣まで浸透したことを驚かれているのが未だに脳裏に焼き付いてます。

先月9月21日のクローズアップ現代での放送( http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3865/ )にて紹介されていますが、埼玉で3万円で遺骨を一時的に預かる業者が、そのまま遺族と連絡が取れず、遺骨を自前で処分する羽目になる落とし穴に遭遇している(葬儀社としては、これに陥るのは目に見えている話なんですが)、ゼロ葬と遺骨の扱いが課題となっています。
YouTube映像はご自身でお探しください(正式のではないのでリンクは張りません)

余談になりますが、2月定例会の松岡会長のご講演はこのサイトでも紹介しておりました。
岐阜の葬儀社、葬儀のと目的と価値は?

当学会の元会員でもありました小谷みどりさんも番組に出られており、いくつか鋭い意見を呈してました。今では30万人が高齢者(年間死者数は120万人です)が90歳以上の高齢者だと。

この表は統計局からのデータです — 私ももう一つのサイトから(http://ゆいごん.みんな/

総務省統計局の情報によりますと現在の日本の人口は:
人口推計(平成28年(2016年)4月確定値,平成28年9月概算値) とのことです。

http://www.stat.go.jp/data/nihon/zuhyou/n160202300.xls

この赤で括ったところを見ますと29.4万人が90歳以上だと言うのがわかります。
これは全国の1/4の死者数です。つまり4人に1人が90歳以上と言うことで、多くが年金でギリギリで生活されていらっしゃる方々が多いと言うことです。これはどういう意味なのか・・・

葬儀はもちろん、お墓も建てることもできないし、90歳以上のお子さんたちは65歳くらい。
つまりこの方々もちょうど定年退職されて現役から離れて暮らしている方々でもある。そのお子さんたちは40代前半であり、バリバリの現役だが、バブル崩壊後の世代(ポストバブル)なので経済面で苦しんできた人が多い世代でもあり、なかなか葬儀どころか、お墓まで面倒が見ることができない世代でもある。

さて、遺骨の扱いはどうなのか?
ここがまた難しい話でもあります。
実は、遺骨なっても、遺体に傷をつけたり破損させたりすると死体損壊等罪になります。
刑法190条に該当します。

第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

ただし、いつも遺骨に対して、この適用範囲がどうなのかと言うのが問われます。
ここで、遺骨の扱いで、遺骨をダイヤモンドにすると言うところに注目をして頂きたい。
人間の骨と言うのは、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムからできている。
人間は炭素(有機物質)ですが、火葬時に炭素は蒸発してしまいます。
そして日本の火葬炉は約1000度弱で燃やして遺骨が残るように作業をしています。
これもまた職人技なのですが、別の機会にお話をしたいと思います。

つまり、骨の中で炭素はほとんどないんです。
そこで遺骨からダイヤモンドを作ろうと言うのはかなりの無理があるわけです。

さて、ここで言いたいのが、今回、クローズアップ現代でも放送だれたように遺骨になってからどうするかと言う課題があります。
科学的に考えれば遺骨を一つのところに集めて、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、りん酸マグネシウムとして考えたら、塩酸でも足して、二酸化炭素を作り、それを回収し、エタノールやメタノールに加工し、再度燃料として使えばと思うのだが、日本人の死生観としてはそれはご法度である。またはコンクリートの材料にするなど(カルシウムがあるので酸性雨には弱いだろうけど)

遺骨の扱いの問題はこれからもっと増える。
行政が率先して考える必要があり、どこかの無縁仏の合葬墓に入れて終わりにするわけにも行かないし、それですら、容量の限界があるので処理に困る。
とくに関西地区は部分収骨な故に、かなり余るので行政は業者に出して処理をしてもらっている。

ちなみに金曜日(10/21)の日本葬送文化学会の定例会は火葬炉をメンテする会社の方のご講演を賜ってますのでぜひ事務局へご連絡してからご参加ください。
色々なディープな話が伺えるかと思います。

株式会社 タムラ 専務取締役 田村 良久様 「残骨灰処理について」 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です