ドライアイス

「ドライアイス」って言うのは何故「ドライ」「アイス」と呼ばれるのかご存じでしょうか?
要するに「濡れない」からです。
通常のH2Oで出来た氷は0℃以上で一度、液体に戻ります。
しかし、ドライアイスは1気圧の状態で約−80℃から一気に気化(昇華)します。
つまり濡れないからです。

ここで「濡れない」と言うのはドライアイスそのもののことをいってます。
葬儀屋さんが1昼夜で利用する量は10Kgのドライアイスです。
そのドライアイスを包むとき、もちろん紙ともう1枚の保護シートを巻きます。
しかし、空気中にある湿気まで凍らせてしまいます。
これが、ご遺体を湿らせてしまう原因になります。

しかし、すでに温度が低く凍っているのでドライアイスを抜いてもすぐは湿ったりはしません。
葬儀屋さんがドライアイスを置く場所は、通常、お腹、胸、そして頭の周りです。
ここには臓器があるので、心肺停止後に血液から腐敗し始めるのでこれを停めるために重要なポイントを経験上(誰が教えたわけでもない)そこに配置します。
今はちゃんと葬儀学校などで理論的に教えますよ。

さて、この10Kgのドライアイスは10Kgの二酸化炭素でもあります。
10Kgだからと言って、甘く見てはならないのは、ドライアイスと言うのは気化したときの容積がどれくらいあるか・・・

http://www.lindegas.hu/en/products_and_supply/food_chilling_cooling/dry_ice.html

つまり、1Kgのドライアイスで540リッターのガスになる。
10Kgだと5400リッターのガスになるわけですね。
葬儀屋さんは1昼夜でこれだけの二酸化炭素を排出していることになります。
これが数日続くと、もっと多くなります。

さて、ドライアイスに代わるものは何があるか?
確かにあります。
メタノールやエタノールが入った容器を冷やしたものです。
しかし、それが環境によいか?は別です。しかしドライアイスよりはマシでしょう。
これも、同じように冷やす。
冷凍庫を必要とします。
冷凍庫を利用するには電気も必要とします。電気はどうやって作られるのかが課題です。
ドライアイスみたいに、業者から運ばれたのち、ただのクーラーボックスに入れておくことはできません。
殺菌するのに塩素系の液体を利用します。
ここまでは問題がないのですが、やはり凍らない問題があるので腐敗が進んでいる場合はドライアイスと併用し、ご遺体を凍らせるしかありません。
このシステムを否定しているのではなく、使い分けが必要であることを述べてます。

では、もう少し良いものはないのか?
私は未だに明確に記憶に残っているのが、杏林大学の司法解剖を行っている佐藤教授が「我々は完全防御している。それでも私は2回ほど結核に感染した。あなた達(葬儀屋さん)が扱っているご遺体は一番危険な状態なモノだぞ。その意識があるのか!遺体っていうのは死後何ヶ月も経って白骨化して一番安全なんだよ。」と。だからこそ、葬儀屋さんは自分と家族と従業員を守るために色々な知識が必要であると同時に、多くのツールが必要である。

これだけ技術が発展しているにも拘らず未だにCO2削減の解決策が見いだせないのが今の葬儀の最先端でもあります。

ちなみに、1Kgのドライアイスは1Kgの二酸化炭素です。
1Kgの羽根と1Kgの鉛の重さに違いがないのとと一緒に、違いはありません。
1Kgは1Kgです。
年間120万人くらい亡くなります。
そこで利用されているのが一人あたり、軽く20Kgは利用されています。
べらぼうな二酸化炭素の排出量です。

 

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