ご遺体の冷却について

エンディング産業展 2018で出会った会社のご紹介です

葬儀社や霊柩搬送業者が病院からご遺体をお迎えに行って安置したら、急速に冷却する必要があります。いわゆる冷凍するという行為です。
今、色々な保冷方法があります。
一つは昔ながらのドライアイス。
そして意識高い系の人たちへはドライアイスの代わりになる幾度も使える保冷ブロック。
その他、大型保冷室や保冷箱(冷蔵庫みたいなものです)。
ちなみに、ご遺体に液体をスプレーするものや棺桶の中に芳香剤みたいなものを置くのはすべてNGです。効果ありません。リ◯ッシュやファ◯リーズも繁殖する雑菌には効果ありません。普通に雑菌を殺すなら普通に漂白剤=塩素(次亜塩素酸ナトリウム液)が必要です。

今まで私はこの類いの商品には否定的でしたが、今回は担当者が「ドライアイスと併用して更に威力を発揮します」という言葉を聞いてから、「その通り!そのお言葉を待ってました!」と納得しました。

このような商品は数社から出ておりまして、今回ご紹介するのは株式会社ドウシシャのメモリアルベッドです。これは半導体を利用して熱を奪う方法です。つまり、電熱交換技術です。CPUクーラーに利用されているペルチェ素子の大型版とご想像していただければ良いでしょう。ここでは割合しますが、ペルチェ素子の課題も多々あります。

そんなモノを開発し、扱うドウシシャさんがどのような会社かと調べていたら、意外と知っている商品を扱っていて驚きました。

さて、株式会社ドウシシャさんって・・・雑貨を扱う総合流通業者ってことか。
その雑貨は、たぶんニトリとかで見たことがあるものばかり。
そして、オーディオ好きな人たちとしては、「サンスイ」ブランドを今、活用している会社!

冷却装置は、このような仕組みになっています(ホームページより)

下からどんどん熱を引っ張って冷やしていくことです。
だがナマモノは傷みやすいので、とくに内臓はいち早く処理しないといけないので、我々はドライアイスを活用しています。上からも下からも冷やすことが大切です。
10Kg・4ブロックに別れたドライアイスを置くところは、お腹、両肩(顔の横)、そして頭の下の4ヶ所が葬儀屋さんの基本です。
そして、本当にドライアイスが必要なのは、胃腸と脳の部分なので、今まで毎日10Kgのドライアイスを補充していたのが一度の10Kgで済むようになるわけです。

余談になりますが次にドライアイスの排出する二酸化炭素を考えてみます。
気体はMOLで考えます。1 molは0.012g(炭素12)を基準にしてます。
そしてアボガドロ数(要素粒子数)とかも思い出していただき、標準気体として1気圧及び0℃であれば、1 molは22.4Lという数字が出てきます。
そして要素粒子 6.022140857×1023 個を 1 モルとして扱います。
そして、排出量と質量は違います。

CO2=12+16+16g として考えたら44g
1Kg(1000)× 22.4L÷44g=509L として排出されます。
しかし、1Kgは1Kgで、10Kgのドライアイスは10Kgの気体となります。
更に周囲の温度が0℃ということではないので、分子は活発になり、容積は多少増えるわけです。

ここにて2017年1月11日にドライアイスについて書いてありますので、ご参考願います。

https://jfuneral.com/2017/01/11/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9/

今まで3日とか4日とかで利用葬儀の日程まで待っていると4日で40Kgのドライアイスを利用すると2000L以上の二酸化炭素を排出することになります。これを抑えることができます。
痛みが激しいご遺体や司法解剖された場合は初日に20Kgは入れます。
そこで、費用面はどうか?
この装置の価格とドライアイスの価格。
いくらドライアイスを使わずにいるとペイするのだろうか?
そして、この商品の電機消費で出す二酸化炭素の総合排出量は?

難しいですよね。
このような装置を使う企業は、社会的責任を大きくアピールするところです。
採算度外視ということです。ドライアイスのほうがはるかに安いわけです。
そして、ここで注意していたきたいのが、通常、我々が利用しているドライアイスは石油やアンモニアを作る過程で精油工場やビールの発酵時などで排出される二酸化炭素の再利用をしているわけです。つまり工場で作らている二酸化炭素のお裾分けを頂いて使っているわけです。
この量は微々たるものなわけです。
更に昨今はドライアイスの利用を見直していることもあります。
食品輸送にてドライアイスを提供されているところも少なくありません。
更に炭酸水などの販売、お風呂に入れる入浴剤で発生させる炭酸ガスなど様々な分野で。
もちろん、液化せずに気化するので洗浄にも利用されていますし、溶接にも。

話がそれましたので戻します。

葬儀社としては、早くご遺体を冷やして、腐敗を防ぎたい。
腐敗を防ぐことによって異臭がなくなります。
更にウィルスやバクテリアの繁殖が抑えられます。
人間界にとって、バクテリアよりもウィルスのほうが危険度が高いわけです。
バクテリアにより腐敗が進み、土に帰るが、ウィルスは核レベルのモノなので最初から生きてないからこそ死なない。生物細胞が繁殖しなければ増殖しないわけです。従ってバクテリアなどの増殖を抑えることで活動を休止できると考えれば、より早く冷却したほうが良いわけです。
そして、漏れる体液も凍らせてしまうことも必要です。

 

しかし、出棺のとき、ご遺体がカチンカチンに凍ってますと、火葬時間が若干長引きます。
800℃〜900℃の炎と熱風に当てますがいち早く棺が焼けて生仏に熱風が当たるように工夫されています。

更に棺が焼けるまで、中に入れたお花などの副葬品も焼ける必要があります。

(これは逗子市の誠行社さんの炉−−うちの子が見学会で撮影したものです)

ここでは火葬炉の仕組みなどは割合いたしますのでご理解願います。

 

そして、お別れのときにドライアイスでヒヤっとしないことを心がける必要があります。
葬儀屋さんは朝一番にドライアイスは抜きます。
もちろん、火葬の当日は無駄になるので補充しません。
棺の蓋を閉めておけば保冷効果はある程度維持できますので。

今回はこのような「メモリアルベッド」を活用するに至って、ドライアイスの利用を減らすことができるのと、不自然な色合いや霜がご遺体につくのが減らせるわけです。
しかし、今のところ、ドライアイスは必要だと我々は考えています。
それは、亡くなってから死後硬直するまでにあらゆる筋肉が緩みますので、体のありとあらゆる穴から体液などが漏れます。ドライアイスによってそれを固めてしまう役割もあります。

生々しい話で申し訳なかったです。

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