生前相談・予約・契約

多くの人たちが日本の葬儀で生前相談、生前予約、生前契約について迷っているかと思います。日本ではこの3種類があり、更に契約というのがどういうものなのか、そして葬儀の前払いについて不透明なことが多いです。

生前葬ではありません
これは生前中に人生の「お疲れさん会」をすることです
亡くなった時点で最低限の葬儀(出棺葬)はします

まず、英語では「Pre-Need」と言います。
とくにアメリカでは葬儀社は届出制ではなく、医者・弁護士と同様に葬祭ディレクターは免許制で、それくらい地位が高い職業であり、相談するだけで費用が発生することもあります。つまり医者や弁護士に相談と一緒です。

さて、海外の葬儀のことはそこまでにして、日本の葬儀はとなりますと、今日にでも手を上げれば葬儀社を営むことができます(運営できるとは別ですが)。
その葬儀社で亡くなる前にご自身、ご家族の葬儀の相談・予約・契約をどうするのか説明いたします。

そもそも、契約でお金が発生するのか?契約とはどういうものなのか?
その預けたお金は大丈夫なのかなどを考える必要があります。

まず葬儀を執り行う前に、必ず見積もりを取りましょう
取らない人はもう平成が終わるこの時代にはほとんどいらっしゃらないかと思います。
更に相見積もりを取るお方もいらっしゃいます。
恥ずかしがらないで相見積もりを取ってください。あなたは普通の人です。

葬儀というのは車と違って葬儀社で受ける役務は違ってきます。
まして、同じ葬儀社でも担当者が変わればまた変わります。
お参りされる方の数、ご親戚の数、宗教家の訪問、ご供花の数、食事の数、様々な要因にて葬儀の形態で費用も対応も全く異なります。天候でも左右されることを念頭に置いてください。

葬儀には、相談・見積もり・予約・契約・施行という順番があります。
そして施行のあと(ご葬儀のあと)に費用の精算に移ります。
私が葬儀社・斎場の社長をしていたころ、やはり皆さん一番気になるのが費用です。
結婚式と異なり、葬儀には呼んでない人が参列されます。
「呼んでない」というのは失礼に当たりますが、もちろん結婚式と異なり「いらしてくださいね」とは口が曲がっても言えない催しですので、誰がいらっしゃる(参列されるか)未知のファクターが多いです。

さて、生前相談とは葬儀社に出向いて(普通は葬儀社まで行かないと電話では冷やかしや嫌がらせと思われてしまい、なかなかお話が進まないので)事情をお話なさってください。
もちろん、このとき、他の葬儀社にもお話をされていらっしゃることを伝えても何の差し支えありません。他社は他社なのと、地域が違えば葬儀の施行方法すら変わってきますし、式場も変われば葬儀の施行方法や備品も変わりますので、ご参考程度にされてください。
更に葬儀社は他社にも相談していると知ると、真剣なんだなという意味が通じます。

相談ごとは必ず葬儀の規模(予算)をお伝えください。
仮にそれが家族葬であろうが、小さいご葬儀であっても。
場合によってはご家族の都合で出棺葬になることもあり得ることも。
見栄を張らないほうが足元を見られない方法です。
葬儀社も大きな仕事を請け負って、お客様が精算時にお支払いできませんというのが一番イヤなので(私は経験してます)。

次にお寺さん(宗教家)をお呼びされるのかや戒名・法名・俗名(故人のお名前)でご葬儀を上げるのかや、誰が喪主なのか。喪主は葬儀の代表、施主は葬儀のお支払いをされる人(会社)で、喪主と施主が変わることがあります。

葬儀はどのような場所で執り行われるのか(ご自宅、集会場、お寺、教会、斎場など)でどのようにご希望なのか。これにより葬儀の値段がかなり変動いたします。
斎場での場合、もちろん、ご利用なさる式場により葬儀の規模も変わってくる場合もあります。

家族構成を葬儀社はお聞きします。
何故なら、そのお方は現役なのか、引退された方なのか、さらに社会的どのようなお方だったのか、周囲にどのようなお方がいらっしゃったのかで弔問客の数が変わります。
これによりご提供される会葬礼状やその場での返礼品の数、お香典返し、お通夜での直会(なおらい=お食事)も変わります。

更に火葬場へ行く方々の人数(ご親戚の数と親しい人)によってご利用される火葬場の待合室(都内は部屋によって金額が異なります)も葬儀社さんは聞いてくるでしょう。

さて、これが生前相談です。

欧米と異なって葬儀社はこのような相談は無料でやっています。
さらに顧客の囲い込みにて、葬儀社が行っているクラブ会員制度などもございます。
そこの会員かどうかによっても価格が変わることがあります。

さて、このクラブ会員制度が生前予約と生前契約に結びつきます

一般的な葬儀社として予約をしたからと言って、それが契約になるかというと違います。
これはあくまでも葬儀の見積もりになります。
そして、その契約は誰が行ったかでも変わります。
葬儀社のシステムが二親等になっているのは、この理由もあります。
契約はその契約者がなくなれば無効となるので、日本では保証人を立てたりします。
亡くなったご本人が葬儀の契約者であったら、誰がその葬儀を見届けるのか?
葬儀を出す人の義務なのかで問われます。
まして、遺言もそうです。ちなみに相続についての法律が変わります。

さて、ここで会員制度の生前予約にて葬儀の事前購入、つまり割賦販売にて購入した場合はどうなるのか?
これは、経産省が認めた葬儀の「互助会」システムを認可された会社以外はやってはならない事業です。
これだと生前契約が成立いたしますが、これはあくまでも「生前販売」であって、葬儀の役務を行わなくても構わないのです。
その場合、返金も可能。

ここでグレーゾーンが生じて、手数料を差し引いて返金することになります。
手数料が問題で妥当なのかが焦点となります。
例えば3000円を2口、60回払い(12ヶ月x5年)で契約した場合、支払いが終わった場合36万円の役務となります。多くの互助会の場合、50万円相当の葬儀役務をご提供していますが、そこに含まれるものは葬儀社によって異なりますのでご注意ください。
もちろん、斎場使用量は含まれていないはずです。
引っ越しなどで葬儀をされなかった場合、返金も可能です。
実際、返金理由は一切問いてはいけないのです。速やかに返金せねばなりません。
しかし、手数料(管理料という名目で)差し引かれまして、これが1割なのか2割なのか、3割なのか。これが実態です。まして利息もつけない仕組みだからなおさら損をした感じになります。

さて、この割賦販売もくせ者であって、葬儀にはプラスが付き物です。
この葬儀には契約以外のものがかなり発生いたします。
これは、式場の利用料以外に、病院へのお迎え、お料理の数の変動、火葬料、場合によっては出棺用の霊柩車がありますのでご確認ください。もちろん、お位牌、お布施、お墓についても別費用です。

そして割賦販売法に基づいて契約した内容から葬儀のランクアップで釣り上げたりするのは違法行為でもあります。
そのために葬儀専門の保険が生命保険会社から販売されてます。

葬儀社の担当者が「このお部屋だと」「この人数だと」など言って契約した葬儀の内容をランクアップは葬儀の割賦販売法にて固く禁じております。
しかも遺族の同情を買うように釣り上げようといたします。
遺族もそれに乗ってしまいます。でもこれが葬儀だからです。

その契約内容より小さい葬儀をされた場合はどうなのか?
これだと返金があるのか?
実は私自身はその例を聞いたことがないのです。
どうせならそれ相応の葬儀を皆様はなさってらっしゃるみたいです。

さて、この生前予約がどれだけ普及かというと互助会は全国で252社(互助会保証株式会社による)あり、互助会の認可を受けている252社は何かと葬儀の前受金を導入しているでしょう。
しかし、人数は不明ですが、積立金は2兆4,592億円と言われています。

さて、生前予約=契約になるのでしょうか?

なりません!
ここを間違えないでいただきたいのです。
葬儀に対して、誰が施行するか、喪主と施主が違ったりすることもあり、これはあくまでも目安であって欲しいです。

しかし、誰しもご自身の葬儀は平穏に滞りなく行われたいですよね。

最寄りの葬儀屋さんにご相談なさってください。
葬儀屋さんだからと言って血を吸われるわけではありません。
今の葬儀屋さんはできるだけクリーンなイメージを保ちたい気持ちもあります。

本当に葬儀屋さんはクリーンなのか?
葬儀屋さんもある意味、騙されていることもあります。
今年(2018年1月)に福岡の「福岡県ゴールド事業協同組合」が破産しました。
消えた終活資金」で話題になりました。
実は、この葬儀保険組合はバックアップ(セーフティネット保証制度)がありませんでした。
代理店である一般の葬儀社も知るすべもないとは言わせない。各々で調査する義務がありますし、実体を運営していたのも葬儀社だったわけです。
互助会ですら消費者庁に相談があるなか、あるいち葬儀社が代表を務める組合が何千人のおカネを集めて破産。一体このおカネはどこに消えてのやら・・・

実際消えた負債総額は2000万円とのことですが、
生前契約、前払いをされる前に考え直す必要がありますね。

ちなみに名前が「福岡県」とついてますが、福岡県が責任をもって運営しているのではありませんのでご理解ください。

鎌倉新書さんが運営する e-sogi.com をご参考にされるといいですよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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