葬儀というのは3つの要因から作られている
1つは亡くなった人(死者)
1つは遺族(取り巻く人)
1つは魂(死者が残した心)
葬式仏教と呼ばれる中、最期にお坊さんはお経を上げに来られる。
しかし、お墓はお寺だったり、その後、盆や彼岸のお参りには墓地へ行ったり。
なぜそのようなことを人間はするのか。
ここは哲学ですけど。
それは概念でもある。
そもそも「死」の医学的概念が乏しかった大昔は人が亡くなったら「死なないで!」「なぜ死んだの?」と死者に語り続けながら、死者からは返事がなく、どんどん冷たくなっていく。その恐怖が「死」への恐怖になっていったとも言えるでしょう。
そこには「哀愁」「自己嫌悪感」が交差し、最後には「無念感」が漂う。
死へのトラウマが生まれる。
NFDAのセミナーで死のトラウマの講座がありました。
殺人の被害者や自殺による人の壮絶な死、事故死を含む突然の死、災難、軍人戦闘、薬物外用剤などで残された方々の死へのトラウマが生じると。
とくにお子さんを失った親御さんは。
それに対する一般的な反応があります。
虚空感、締め付けられ感、疲労や倦怠感、しびれ、不眠、食欲の無さ
更に講習会では、それに見舞われた人たちは、よりひと目を開けるようになる。
疎外感が増してくる。
周囲の人たちも返すことばが見つからなく、さらに状況は悪循環する。
言っていいことと、いけないことがある。
対処方法は、死へ目を向けるのではなく、生に意識を持って行かせることです。
10月25日のビデオでも説明しましたが、Sympathy(同情)ではなく、Empathy(共感)を提供し、Compassion (同情から行動)を取ることだと。
共感力はつながりを作りますが同情は断ち切ります。
そして何も決めつけないことが大切です。
決めつけることで自分の思いを相手に押し付けてしまうからです。
とにかく相手の話を聴くことが大切です。
これが行動力を伴った同情のCompassionになります。
そして葬儀屋さんはグリーフの現場の一番最初に駆けつける人たちでもあります。
つまりセカンド・レスポンダーでもなければ、ましてラスト・レスポンダーでもない。
グリーフワークに関してはファース・レスポンダーなんです。
セカンド・レスポンダーは病院で亡くなったとき、遺族がファースト(最初)で、次に駆けつけるのが葬儀屋さんだからせかんど・レスポンダーと呼ばれます。
ラスト・レスポンダーと呼ばれるのは、人生最後にお世話になるのが葬儀屋さんだからです。しかし、実際、グリーフケアによっては、葬儀屋さんはファースト(1st)レスポンダーなのです。
悲しむ遺族のところに最初に駆けつけて打ち合わせをするのが葬儀屋さんだからです。
そして葬儀というのは非日常空間を作り出します。
まず、葬儀の場所が自宅でなければ斎場へ移動します。
自宅の場合でも葬儀を営んでいることで庭飾りや鯨幕(白黒の幕)を張ったりします。
お線香を焚いて、まずニオイを変えます。
お線香の役割は死臭を消すというのと、非日常の香りを漂わせるというのもあります。
豊かな社会を作るには葬儀後よりも葬儀の前に何をしたらいいのかを考える必要があります。
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