jFuneral ニュースレター 20230913 納骨堂

こちらでもニュースレターを始めます。

エンディング産業展が終わって二週間経ちました。
台風13号が上陸する前に熱帯低気圧になってしまいましたが、やはり雨は色々なところで降っています。
そしてやっと落ち着いて、名刺交換できた方々へ業者さんは連絡しているかと思います。
考えてみていただければ分かるように、展示会が終わって一段落するのが2週間くらいしてからで、そこから各社、皆さんに連絡。その中で6月下旬、8月下旬立て続けの展示はかなり関係者に負担が掛かります。

それでも出さねばならないと強迫観念で感じている業者さんも少なくないはず。

墓地やお寺が生き残るには何をしたらいいのか?

お寺が危惧しているのは檀家離れが激しいことだ。
本山でなければ檀家なしでは食べていけない仕組みになっている日本の寺院。
檀家を維持するならお墓がないとダメなのか?

実はだいぶ前だが(調べたら2015年7月24日の午後)、私が日本葬送文化学会の野外定例会で池袋(椎名町駅前)の赤門テラス なゆたの金剛院さんに訪れたときに野々部住職(昨年ご引退)が「都内で墓地があるお寺は今後経営に苦労する」とおっしゃられたことが記憶に残っている。

なぜ墓地があると経営難になるのか、当時からすでに訪れる多死社会で墓地不足もあるだろうなのか、どこが難しいのか。
確かに檀家は減るし、老々介護で資金繰りも難しくなり、医療費も嵩んでくるが、墓地があると経営の足かせになるのは理解ができなかった。

今から思うと、まさしく墓地があると厄介だ。
しかも先祖代々の墓地があり、大勢が眠っていれば、食いっぱぐれることはないかと思ったが、それは恐ろしいことになってしまう前兆であった。
妻の葬儀社でもたまに相談に来られるお客さんがいる。


2015年から5年後に訪れる誰も想像しなかったコロナ時代がはじまった。
葬儀も弔いもしなくなった。
納骨もしないで散骨。
お寺も呼ばない、お経も挙げない。
自分たちもギリギリで生活しているから宗教儀礼ほど面倒くさいものはないと思う人達が増えてしまい、直葬でいいわってことになる。

ここで大切なことは少なくてもどうやって現状維持をするかである。
日本の寺の数は約74,000ある。神社の数は82,000以上と言われている。
この数字は一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団が2022年に調べた数である。
総務省と数とほぼ一致している。


さて、お寺も神社も葬儀社も潰れていく時代になった。
お寺が潰れたらどうなるのかというと、ただの廃寺になり、管理人がいなくなる。
次に本山から誰か次の管理人(住職)が訪れるまで近くのお寺の住職が兼務で管理する。

もちろん、普通に世襲する人がいなくなり、終わるお寺もあり、その後、誰か親戚に僧侶がいたら、そっちへ管理が回ったりすることもある。

場合によって、お寺が「倒産」した場合は、寺の土地は「不動産」と見なして、債務者の手に渡ることもあったり、不動産価値として競売に掛けられたりすることもある。

では、お寺にお墓があったらどうなる?

実はそのお墓も不動産として競売に掛けられてしまう。
更地にされ、遺骨もどこかに捨てられるのだろうと。

日本人なら次に買う人はイヤだろうと思うが、中国ではしょっちゅうあることだ。
お墓があったところ、政府の命令で開拓され、そこにマンションが建つのはいつものこと。

中国殯葬協会のイベントで上海を訪れて、その事実を知った。

幸にも不幸にも2008年に上海でのイベントに参加することができて、色々と葬儀や亡くなった人への追悼の違いを学ばせてもらった。

実際、今、日本でも14,000〜17,000くらいの廃寺が存在している。
74,000軒のお寺で稼働しているのは57,000〜60,000寺。
2023年5月末の時点でのコンビニの数の58,000軒と同等である。


さて、この墓地が負の資産になった場合、どうなるのか。

お寺の経営が難しくなることにはいくつかの理由がある。
ザクッと考えるとこんなことが思い当たる。
これはお寺だけではなく、どの企業でも同じことを言える。

檀家がいない、お葬式がなくなり収入が失くなった、墓地の管理費を踏み倒されていく、設備投資しすぎた、納骨堂の維持費におカネが掛かりすぎた(過剰な投資)、幼稚園などの経営が上手くいかなくなった、住職が他にカネを掛けすぎたとか。

だが、指を加えて終わりを待つわけにはいかない。

ちょうどエンディング産業展で旧阪神総商さんの会社が展示していたので話をしてみた。
「阪神」というから大阪と思われるだろうが、コロナ禍で納骨堂販売ビジネスが難しく、軌道修正をしており、展示が小さくなり、今度は本社を東京に移して、社名も変えて再スタートを切った。

たぶん、多くの人がプレジデントや現代とかでも読んだことがあるかと思うけど、納骨堂ビジネスで一番カネが掛かるのが機械だ。
全自動やら、コンベヤーベルトに乗せるとか、カードキーとかの維持管理システムだ。

厄介なのが、このような設備を導入して収支が合わなくなってしまったところである。
これは誰が悪いのかというのはない。
的外れだったというのと、納入業者が高いものをお寺に売りつけてしまったことでもある。
そもそもお寺は宗教観念で経営がイマイチな感じのところが多い。
先祖代々葬儀社の家系で育った自分だから地元は助けたいと感じる。


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そして経営難は築地本願寺も例外ではなかったらしい。
築地本願寺 代表役員・総務長(お寺の社長)の安永雄彦氏がいうにはお寺の数は半分でいいのではとある番組で話をされていたのをネットで見た。

本当かどうかはわからないが「経営」というのは「お経を営む」と言われている。
経営がいかに大切かがわかる。

多死社会においてお墓不要論にもなってくる時代に突入した。
そうなると、ますますお寺離れをする人たちが出てくるだろう。
それを食い止めるには、お墓ではなくもっと採算が合う納骨堂を建てるほうがよいだろう。


しかし宗教法人や公益法人、墓地を作っているところ(自治体)とかでないと出来ない。

共同経営ということでお寺がよく業者に名義貸しをすることもある。実際お寺にすべてを負わせるので名義貸しではないのと、宗教法人の名義貸しは違法である。
そして、業者が倒産したりすると、その負債がそのままお寺にのし掛かるので注意が必要。
そもそも墓地は永続性が求められているので、破綻しないよう営利目的での経営は許されていない。それでもデベロッパーがお寺をソソノカセて納骨堂や墓地を開拓させることがあるに違いない。

京都の大谷霊廟にはいくつかの納骨堂がある

このようにロッカー式でお参りする場所を設けることが一番安価に済むだろうと。
これが一つひとつ仏壇だったり、小さければ仏具が入っていたりします。

そして何年か経って、永代供養として納骨堂ではなく別のところ(合葬墓)に移動されることもあります。

ここで、ちょっとしたものを紹介したいと思います。
有限会社アッシュオンの合葬墓が画期的でお寺でも安価に納入することができます。

https://hon-nagoya.com/

通常合葬墓となりますと大きな場所が必要かと思われます。なぜなら今まであった骨瓶をそのまま移動するからです。関東なら6寸〜8寸の骨瓶を置くスペースが必要ですが、そもそも最初から円筒だったら?そして遺骨を最初から砕いて入れているなら?

円筒形のお墓だと樹木葬を思い出します。
これもある意味、画期的です。
指定契約期間が訪れたら、その中から出して、合葬墓へ移動します。

この写真は谷中霊園の樹木葬
これも省スペースのお墓です


墓地経営にはこれが正解だというものはないはずです。
なぜならば、地域と文化にものすごく依存するからです。
今年、札幌の納骨堂が破綻したのも記憶に新しいです。

都市部には外資も含む葬儀、仏具、石材店、金融がお寺に魔の手を伸ばしてとでも言えるくらいすり寄ってビルにまで投資させて納骨堂を作らせています。
なぜなら、名義がすべてお寺(宗教法人)でなくてはならないから。
それをお寺は理解しているのか。

それこそ、身の丈に合ったことをしないから破綻するわけです。
そして最後は契約者たちが遺骨の回収ができず泣き寝入りすることです。

もちろん、そうなると永代供養料の返還を求める裁判が発生する。
しかし、相手は払えない(すでに預金がない)。
宗教法人に関して経営の監査がゆるいのも確かで、破綻する寺院は赤字経営が続いているにも関わらず(お寺としては色々な事情でそうなることもある)、納骨堂に運命を掛けたら失敗に終わったと。

話を持ちかけた連中にも罪があるだろう。
たぶん、無宗教式の永代供養墓の話を持ちかけてそそのかしたのも考えられる。
そうならないように寺院も勉強するしかない。

本来なら営利目的であってはならないのだが、バックにいる金融から葬儀社まで、すべてが営利目的であるから問題になっている。
そもそも、墓じまいブームになっている。
お寺もこのときばかりに「離檀料」とか色々と課してくることも少なくないでしょう。
これは仕方ないことだと思っていただきたいが、場合によっては法外的な金額も耳にします。


その場合、遺族としては、放棄して、引っ越してしまい、あとは知らん!ってやってしまうこともあるだろう。そうあって欲しくない。

再度書くが、そもそも忘れてはならないのは宗教法人の名義貸しは違法である。
だからこそ、業者がすべて宗教法人の名前で書類をつくり責任を負わせて運営される。
業者としては、納品者であり、売ってしまったあとはリスクがゼロに近いだろう。

自動搬送式(コンベヤーベルト)があるのは何かと故障があると思ってほしい。
このメンテ費や運営コストもバカにならないはず。
コンピュータやベルト、チェーンが壊れたらどうする?
誰がその場で対応するのか。もちろんお寺でそれができる人は少ないだろう。

お寺の経営を納骨堂で元気にするなら、納骨堂をお寺の経営に負担がない形にせねばならない。そこには、アナログ的で多く納められるような仕組みが必要であるのは言うまでもない。


アッシュオンの納骨の仕組み

このように場所を必要せず、管理タグをテプラみたいなものでQRコードを底に貼り付けて番号と遺族を管理したらいいだけである。何しろ大切なことはアナログであることだろう。納骨堂は多死社会において正しい発想だと思うが、投資と運営費を極力抑えることが大切であり、今後はおカネを最小限にしか出せない方々が増えてくるので、そのつもりで寺院の経営を考える必要があるでしょう。残りはバーチャル墓地であり、また別のときに。

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