デジタル終活の落とし穴

デジタル終活でやってはならないこと

これは葬儀屋さんにお客さまへぜひ伝えてほしいことがあります。
これをきちんとやっていかないと、高齢者が亡くなったとき、
遺族がかなり苦しみますので。

終活アドバイザー・葬儀プランナーとして、数多くのご家族の「その後」を見守ってきた経験からお話しさせていただきます。

近年、スマートフォンやパソコンの普及に伴い、「デジタル終活」の重要性が非常に高まっています。
しかし、良かれと思ってやったことが、かえってご家族を困らせたり、ご自身の生前のセキュリティリスクを高めたりするケースも少なくありません。

デジタル終活において「絶対にやってはいけない5つのこと」を、専門家の視点から分かりやすく解説いたします。

デジタル終活で「やってはいけない」5つのこと

遺言書にパスワードを書かない高齢者と家族の会話

1. 法的な「遺言書」にパスワードを直接書き込むこと

【理由】 遺言書(公正証書遺言や自筆証書遺言)は、ご逝去後に家庭裁判所で検認されたり、公証役場で保管されたりする「公的な文書」です。相続人全員の目に触れるだけでなく、手続きの過程で第三者に見られる可能性があります。

【正解】 パスワードやIDなどのデジタル情報は、法的効力を持たない「エンディングノート」や、専用のパスワード管理アプリ、あるいは封をした手紙などにまとめ、遺言書とは別に保管してください。

そもそも遺言書は規定のフォーマットがあり、それに従って書かないと無効化されます。
思いなどは「付言事項」として記載しますが、そこにも書いてはなりません。

2. スマホやPCを「生体認証(顔・指紋)」のみでロックすること

【理由】 ご逝去後、ご家族が最も困るのが「スマホが開かない(デジタル遺品の文鎮化)」という問題です。顔認証や指紋認証しか設定しておらず、バックアップのPINコード(暗証番号)を誰も知らない場合、ご家族は中の写真を取り出すことも、有料サービスの解約手続きをすることもできなくなります。

【正解】 必ず「数字のパスコード(暗証番号)」を設定し、その番号をエンディングノートなどに書き残しておきましょう。

必ずPIN番号で解除できるようにしないと、亡くなったとき、あなたのお顔や指紋は反応しなくなります。
FaceIDと呼ばれる顔認識は写真ではできません。これは赤外線も利用していて、顔の凹凸までもチェックしています。
死亡直後ならいいのでしょうけど、それはほぼ不可能なことだと思ってください。

3. ネット銀行や証券、仮想通貨の存在を「誰にも言わない」こと

【理由】 通帳や郵便物が届かないネット銀行やネット証券は、ご本人が亡くなると、ご家族がその存在に気づけない可能性が非常に高いです。最悪の場合、相続財産から漏れてしまったり、仮想通貨やFXなどで知らないうちに損失や税金が発生したりする恐れがあります。

【正解】 口座のIDやパスワードまで教える必要はありませんが、「どこの金融機関(アプリ)を利用しているか」というリストだけは、必ずご家族が分かるように残してください。

この資産は相続税対象にもなっているので必ずリストアップしておかないと、あとから大変なことになります。

4. 生きているうちに「すべてを削除・解約」しようとすること

【理由】 終活を急ぐあまり、まだ使っているSNSや便利なサービスまで解約してしまう方がいらっしゃいます。終活は「これからの人生をより良く、安心して生きるため」のものです。デジタル環境を不便にしてまで整理する必要はありません。

【正解】 「今すぐ消すもの」と「死後に家族に託す・消してもらうもの」を分けましょう。例えば、見られたくないデータは特定のフォルダに入れてパスワードをかけるか、「死後に自動でデータを消去するソフト(死後事務委任サービスなど)」を活用するのも一つの手です。

消してしまうと、重要な内容も消えてしまい、そこに紐づいているものまでアクセスできなくなります。
私の場合、Twitter(X)とFacebookを削除してしまい、それで認証していたサービスが利用できなくなりました。
アカウントも削除することが出来なくなり、永遠にデータがネット上浮遊しているのでしょう・・・

5. 整理したノートの「隠し場所」を誰にも伝えないこと

【理由】 完璧なエンディングノートやパスワードリストを作っても、ご逝去後にご家族がそれを見つけられなければ、何の意味もありません。「金庫の奥深くにしまって、誰にも言わなかった」というケースは意外と多いのです。

【正解】 中身を今すぐ見せる必要はありません。「もしもの時は、この引き出しの赤いノートを見てね」「パソコンのパスワードは、手帳の最後のページに挟んであるからね」と、「情報のありか」だけは信頼できるご家族に伝えておいてください。

必ずわかるようにしておいてください。
保存バッグ(ジプロックみたいなもの)に入れて冷蔵庫の中とか。
意外と仏壇の引き出しは見落とされますのでご注意ください。

スクラッチシールはこちらです: https://link.amazon/B07Ti39WI


専門家からのアドバイス:まず何から始めるべきか?

デジタル終活は、一度にすべてをやろうとすると必ず挫折します。まずは、以下の3ステップから始めてみてください。

1. スマホのロック解除番号(PINコード)を紙に書く

(スクラッチシールをその上から貼る)

2. 毎月引き落としされている「有料サービス(サブスク)」をリストアップする

3. ネット銀行・証券の「金融機関名」をメモする

これらをエンディングノートに書き留め、ご家族に「ここにあるよ」と伝えるだけで、ご遺族の負担(とくに金銭的なトラブル)の8割は防ぐことができます。

終活は、ご自身の心を軽くするための作業でもあります。ご不安なことがあれば、決して一人で抱え込まず、私たちのようなアドバイザーや、身近なご家族に相談しながら、ご自身のペースで進めていってくださいね。

紹介した「スクラッチシール」


「葬祭ジャーナル」の jFuneral.comをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。