jFuneral ニュースレター 20240229 エコ葬儀

たびたび話題になるエコ葬儀

環境に良いお葬式って日本にはあるのか?

そもそも葬儀の数は三年連続で上昇し、昨年は159万人まで登った。
本来ならその数は10年くらい後に届く予定の数であったが、早くも届いてしまった。
そうなると、お葬式がもたらす環境負担とはどういうものかを真剣に国は考える必要があるのではと指摘が入る。

葬儀関係者(火葬場や遺体安置用冷蔵庫を作っている業者も含む)から言わせてもらえば、余計なお世話だよ。
近年の火葬炉はだいぶエコになり火力も強く(燃焼効率がいい)、冷蔵庫もかなりエコ設計(断熱・遮熱・インバータ見直しなど)、一般的に利用される棺も燃えやすくなったりしている。

火葬のままでいいのか?

言わずとしれた日本は世界一火葬が多い国である。
99.97%といっても過言ではない。
残りの0.3%はというと、火葬場がない離島や宗教的に禁止されている人たちである。
大まかに昨年の死亡者数を159万人として考えると500名くらいである。

火葬に必要な火力は相当なものである。
ご遺体だけでなく、棺と副葬品(お花やちょっとした写真などや服も入れる)も燃やすから。

某火葬場の炉

海外ではどうしているのか?

日本に続いて火葬率が高いのはお隣の韓国の約85%であり、そして英国の約75%。
米国は2023年の火葬率が60%を上回ったが、州によってかなりの差がある。
そして、NFDA(米国葬儀社連盟)としては2030年までにはその数字を70%以上に伸ばしたいと。イタリアなんかでは30数%である。

では、なぜエコでない火葬を選ぶのか?

「火葬」以外に何があるのかというと、昔ながらの「土葬」と新しい仕組みの「アルカリ加水分解」などが存在しているが、あまり流行ってはいないが注目は浴びている。
そこで「なぜ火葬」なのかと考えると

ここでは文化的な背景を考える必要があるだろうと。
日本は1873年に明治政府が火葬を禁止したのは神道を推進するようになったが、墓地が足らなくなり背に腹は代えられない状態に陥ったので、2年後には火葬を復活させた背景がある。

さて、ここの「墓地不足」というのが大きな理由ではあったが、日本はお家制度で「家族墓」の習慣があり、「個人墓」が少ない。よほど有名な人や著名人とかでない限り、一人のお墓は存在しない。

お墓が残っていたのはこのせいだろうと。
そうでもしないと、お墓は消えていたかも。
または石を積み上げた墓標だけになっていたかもしれない。

納骨堂や樹木葬の現場ですら、「家族墓」である。

納骨堂や樹木葬の現場ですら、「家族墓」である。

ただし、日本の場合は「お家制度」もあるが、別の事情がある。
それは相続という観点から見たお墓の管理だ。
だが、それだけでは火葬が根付いた理由にはならない。
先ほどの明治時代の火葬禁止と同様に時代の政治と社会の両方の動きであったに違いない。

火葬において、エコロジカルなことを考えると、必ず棺の材料に課題が注目する。
「段ボール棺」がベストだと言われる。

これは一般的な木製の棺

木製に似た段ボールの棺と桐の棺がとても似ているのをご存じない人も多い。
実は、台所の棚で利用されている扉とかは木製ではなく、圧縮段ボールが多い。
通称「プリント棺」と呼ばれており、木目調の紙が貼られている。

かれこれ25年も前になるが、私が日本大判写真家協会(玉田勇会長)のところで大判カメラの扱いを学んでいたとき、そこの先輩にキッチン研究科の黒田秀雄氏がいて、キッチンと葬儀の類似点は圧縮段ボールであることが判明して二人で大笑いしたことがあります。

現在、黒田氏のことはわからないが、ご存命なら80歳か81歳である。


その中で、燃えやすい素材を使った棺が重要で、それ以外はどうすることもできないという結論に達した。もちろん、段ボールではなく、自然界にある竹などの素材で作った棺もあります。

竹を利用した棺

さて、環境負荷を与えない方法は先ほど述べた「水葬」のAquamation®、いわゆるアルカリ加水分解方式を活用した方法で二酸化炭素排出量が10分の1くらいまで落とせるという触れ込みだ。

実際、どうなのかは疑問なのだが、低温と高温の処理で骨にする時間が倍以上変わってくる。

このチャンバーにご遺体を入れて、低温の場合20数度、高温の場合は40数度に上げて強アルカリ性の液体でご遺体を溶かす。
通常KOHやNaOHを利用する。

温度が上がれば溶解速度はアップされる。

溶かすといっても、アミノ酸がきれいに分解し残ったものは骨や体内の金属類(人工関節とか)。

ここに数年前に書いた内容のリンクを開示しておきますのでご参照ねがいます。

日本では「水火葬」の許可が下りないだろうというのと、海外みたいにお骨上げは1週間後ですと言えない事情の日本で1時間以内に処理を終わらすには液体を沸騰させても無理でしょう。
それどころか、この中にはご遺体を裸にする必要があるので、それこそ別の問題が発生します。
洋服とかベルトとかがあると処理が遅くなったり、下手したら化学変化により遺骨に色が付着する可能性も出てきます。

あとから言い訳ができないですよね。

それなら、エコを歌うなら、使用する燃料を重油や電気からバイオチップに変更したりするか、まったく異なるエネルギー源を利用するしかないわけです。火葬場に水素発電や超小型原子炉はありえませんので。

海外では、火葬炉から排出されるエネルギーを再利用しているところもあるが、日本は感情的なところもあり、そのまま排出されている。
本来なら火葬場でこの排出されるエネルギーの再利用ができたら火葬場の経費節減もかなりできるはずだが、どうしても日本人は忌み嫌うところがあるって、そういうのをやっていると報道されただけで不要な攻撃を受けたりしてしまいます。

エコロジーが最優先な国ほど理解度が高いのがわかります。


次に可能なのがアップサイクル構造です。

リサイクルは分解して、再度その素材を活用することですが、アップサイクルは素材に戻さず、新たに製品を活用することです。アップサイクルは原料に戻さないため、消費するエネルギーが少なくて済むのがポイント。では、葬儀で廃棄物として扱わずアップサイクルできるものはあるのか。
棺は再利用はしたくないです。

出された生花は賞味期限が短すぎて、使えないし、途中で枯れては困るし匂いも出ます。
お葬式で使われる製品のリメイクというと白木の祭壇だけなんです。
今では本当に見なくなりました。

エコを歌うなら花祭壇をやめることで花の管理から水揚げ、冷蔵保存などを減らすことが可能になります。

そして最悪なのがドライアイスの活用ですが、実際ドライアイスは石油精製時にビニール袋になる炭酸ガスを再利用して製造されているが、保管エネルギーや製造に環境負担が大きい。
乱暴な言い方をするとビニール袋になるかドライアイスになるかの違いである。

それ以外にエンバーミング(血液を抜いて防腐剤を注入)することでドライアイスをそれほど多く使わなくて済むので(使わないのではありません)、環境負担を軽減する方法もあります。
そもそもこのエンバーミング技術はベトナム戦争のときに亡くなった兵士を本国へ連れて帰るために飛躍的進歩した技術でもあります。ちなみにリンカーン大統領ですらエンバーミングが施されています。

普通のお葬式、安いお葬式、エコなお葬式、どれが一番いいのかを葬儀屋さんに相談してみるのも手段です。
普通と安い葬式とエコなお葬式と組み合わせると、普通でエコなお葬式、安くてエコなお葬式、エコだけど高くつくお葬式というジャンルが見えてくるかと思います。葬儀屋さんそれぞれができることとできないことがあり、すべてに対応できるわけではありません。

極論、レクサスへ行って日産GT-Rがほしいとねだるようなことになりかねないのでご注意ください。


まとめ

エコ葬儀について

近年、環境への配慮からエコ葬儀への注目が高まっています。日本では火葬率が99.97%と非常に高く、火葬に伴う環境負荷が課題となっています。

火葬以外に選択肢はある?

海外では土葬やアルカリ加水分解など火葬以外の選択肢もありますが、日本では墓地埋葬法によって火葬以外を制限するという思い込みがあり、墓地の土地不足も兼ねて自ずと火葬文化になっている。

火葬をエコにするためには?

火葬をエコにするためには、棺の素材や燃料、火葬後のエネルギー利用など様々な工夫が必要です。

  • :段ボール棺や竹製棺など、燃えやすく環境負荷の少ない素材を使用する。
  • 燃料:重油や電気からバイオチップなど、環境負荷の少ない燃料に変更する。
  • エネルギー利用:火葬炉から排出されるエネルギーを再利用する。

その他の取り組み

  • 花祭壇をやめ、ご供花でいただく生花を代わりに白木の祭壇をより多く使用する。
  • ドライアイスの使用を減らす。
  • エンバーミング技術を活用することでドライアイスの使用量を減らす。

最終的にエコ葬儀は、環境への負荷を減らすだけでなく、葬儀費用を抑えることにも繋がるはずだが、「再生紙」と同様に「プレミアム費」を支払えるか。今後、ますます注目が高まっていくでしょう。このままだと葬儀社も共倒れになりかねないです。


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