Podcast Season 7 Episode 279
今日は2026年7月21日です。
先週はアライアンスについてお話をしました。今週もその続きです。
先週のおさらいをちょっといたします。
先週、アライアンスを組むには「相互補完」が必要とお伝えしました。
その中で、資金力以外に営業力、店舗数、技術力、販売力、アイデア力、人材、人脈、生産力、ブランド、信頼、信用、機動力、そして会社そのものの意欲などがあります。
今日のポッドキャストは:アライアンスで新規事業を立ち上げる5つのステップ
私自身が実務家として、良い話だけでなく、現場でつまずくポイントも正直にお話します。
こんにちは、日本でたった一人の葬儀・葬送ビジネスポッドキャスター
有限会社ワイ・イー・ワイの和田です。
死に方改革研究者及び旅のデザイナー。
今日は「アライアンス」、つまり他社と組んで新しい事業を立ち上げる話の続きのお話をします。
私はもともと葬儀社の経営をやっていて、今は葬祭業向けのシステム開発とマーケティングの会社をやっています。
さらにAIリスキリングのフランチャイズにも関わっている。正直、どれも一人や自社だけのリソースじゃ絶対に無理なんですよ。
だからこそ「アライアンス」というテーマは、私にとって机上の空論じゃなくて、生きるか死ぬかの死活の話なんです。
今日はある資料をベースに「アライアンスによる新規事業立ち上げの5ステップ」を紹介するんですが、ただ内容をなぞるだけじゃなくて、私が実際に葬儀社のM&Aのコンサルや業界を渡り歩いてきた中で感じた「ここは綺麗事だな」という部分も遠慮なく突っ込みながら話します。
生成AIが書く文章って、基本的にいいことしか書かないクセがあるんですよ。
だからこそ、Good(良い面)だけじゃなくて、Bad(実務上の壁)、Ugly(業界の生々しい現実)まで、セットで話していきます。
ぜひポッドキャストを聞いてください。
全体像(1分)
アライアンス構築は、この5つのステップで進みます。
- 自社の強みを見つけて言語化する
- アライアンス戦略を立てる(Whyの明確化)
- 候補先の探索とミーティング
- 条件交渉・合意と事業構築
- 収益化とタイムスパンの管理
順番に見ていきましょう。
Step 1:自社の強みを見つけ、言語化する
まず大前提として、アライアンスは「持ち寄り」なんですね。ギブ・アンド・テイク。自分に差し出せるものがなければ、誰も相手にしてくれません。
面白いのは、多くの会社は自分の強みに気づいていないという点です。当たり前すぎて、自分では「強み」だと思っていない。
私自身の例で言うと、葬儀業界とコンピュータ業界、さらに人工知能開発の営業顧問、フライトシミュレーターのシステムエンジニア、原子力関連の半導体営業まで渡り歩いてきました。一見バラバラなんですが、これって「複数業界の商習慣を横断的に理解している」こと自体が強みになるんです。一つの業界にしかいない人には出せない発想ができる。
【Good】 この「強みの再発見」という発想は本当に大事です。特に葬祭業界みたいに閉じた世界だと、外の人間からすれば当たり前じゃないノウハウ(例えば「イレギュラー対応力」)が、実は棚卸しすれば立派な資産になる。
【Bad】 ただ現実には、「自社の強みを言語化してください」と言われて、パッと出せる経営者はほとんどいません。特に葬儀社のような現場叩き上げの経営者は、感覚でやってきているので、言語化する訓練を受けていない。ここでコンサルを入れるにしてもコストがかかるし、下手なコンサルに当たると、当たり障りのない「強み診断」だけで終わってしまう。
【Ugly】 正直に言うと、「強み」と言いながら、実態は「他社より安くやれる」「他社よりリソースに余裕がある」というだけの場合も多い。それを綺麗な言葉に翻訳しているだけ、というケースも業界にはゴロゴロあります。言語化がうまい会社が必ずしも中身が伴っているとは限らない、というのは頭の片隅に置いておいた方がいい。
Step 2:アライアンス戦略を立てる(Whyの明確化)
次は戦略です。ここで一番大事なのは「なぜこの相手と組むのか」という Why を突き詰めること。これが曖昧なまま進むコラボは、途中で必ず空中分解します。
Simon Sinekさんも事業はWHYからはじめることが重要だと。
だから、長期計画でも勝てる戦略を見いだせると。
それがない限り、ただ兵士(社員)は疲弊し、War of Attrition(消耗戦)になるだけだと。
その「戦略」には、私がいつもいう「一貫性」「実行可能」、そして「なぜ」が必要。
「なぜ、その市場で戦うのか」「なぜ、その地域」「なぜ、その相手(パートナー)なのか」で「なぜ」が必要。
マーケティングの基礎は「誰に、何を、どうやって」なのは、「なぜ」がすでに定義されているからです。
相手企業を見るときのポイントは3つ。
- 企業規模・業歴(パワーバランスは適切か)
- 事業構造・機能面(相手のバリューチェーンのどこに自社が食い込めるか)
- 経営資源(相手が喉から手が出るほど欲しいものは何か)
そして資料の中でも強調されているのが、小規模企業が大企業に挑む鉄則です。1人、2人規模の会社が大企業にそのままアプローチしても相手にされない。「組むことで大企業側にどんなメリットがあるか」を、相手目線で徹底的に言語化する必要がある。
【Good】 これは本当にその通りで、私がシステム提案する時も、まず「相手が今何に困っているか」を先に調べ尽くしてから提案書を作ります。例えば介護施設ですが、認知症予防やコミュニティ作りに役立つ製品を提案する時も、施設側の運営課題(人手不足、稼働率、家族への説明責任)に紐づけないと、絶対に響かない。
【Bad】 問題は、「Why」を突き詰めるプロセスそのものに時間がかかりすぎるということです。特に葬祭業界みたいに、経営者が高齢で意思決定が遅い業界だと、Whyの議論をしている間に担当者が変わったり、そもそも「なぜ組むのか」を経営者自身が言語化できずに話が流れる、というのはよくある話です。
【Ugly】 もう一つ現実的な話をすると、大企業側の担当者は基本的に「自分の社内評価を守ること」が最優先です。どんなに論理的にメリットを説明しても、担当者個人がリスクを取りたくなければ、話は絶対に前に進みません。ここは「Whyの言語化」だけでは突破できない、社内政治の領域です。特にM&Aや海外メーカーとの窓口をやってきた経験から言うと、ロジックより「誰が握っているか」の方が9割です。
Step 3:候補先の探索とミーティング(シーズの獲得)
戦略ができたら、実際に候補先を探してアプローチする段階です。紹介、プラットフォーム、イベント、直接アプローチなど、あらゆる手段を使って粘り強くミーティングを重ねる。
もし自社に新規事業のアイデア(シーズ)が不足しているなら、M&Aや投資を通じて他社の技術やアイデアを獲得する選択肢もある、という話です。
【Good】 「粘り強く」という部分は本質です。一度会って断られても、半年後に状況が変わって話が動くことは実際にあります。海外のレアメタル・レアアース案件でも、最初の接点から成約まで数年かかったケースは珍しくありません。
【Bad】 ただ、「粘り強く」の裏には、時間とコストが延々とかかるという現実があります。特に小規模事業者にとって、成果の出ない営業活動を何ヶ月、何年も続けるのは、キャッシュフロー的に相当きつい。資料では軽く触れる程度で終わらせていますが、実際にはここで力尽きる会社が一番多いです。
【Ugly】 M&Aによる「シーズの獲得」は、言葉は綺麗ですが、実態としては買収される側の技術や人材が、買収する側の都合でバラバラにされることも珍しくありません。「シナジー」という言葉の裏で、現場の人間が置き去りにされるケースを何度も見てきました。これは財務のデュー・ディリジェンス以外に人のデュー・ディリジェンスをやっていないからです。
Step 4:条件交渉・合意と共同事業の構築
ここが一番シビアなパートです。
小さな会社にとって、すべてをマンパワーでやるのは不可能なので、集客から販売、価値提供までを自動化・半自動化する「ファネル」を事前に構築しておくことが成功の絶対条件、とあります。
そして交渉段階では、リスクと責任分担、利益配分のルール、撤退(エグジット)つまり出口戦略の条件について「本音」で徹底的に話し合う必要がある。いい顔をして本音を隠したまま進めると、後で疑心暗鬼になり、大きなマイナスを被る。
【Good】 これは本当に核心を突いています。私がAIリスキリング事業で葬儀社に伝えたいことも、実はこれと同じ構造です。イレギュラー対応が多いからと言って全部を人力でやろうとするから業務改善が進まない。レギュラー業務を切り分けて自動化し、本当に人間が判断すべきイレギュラーだけを見える化する。この「仕組み化」の発想がないと、アライアンスも社内のDXも同じように破綻します。
【Bad】 一方で、「本音で話し合いましょう」というのは言うのは簡単ですが、実際の交渉の場で本音をぶつけ合うのは、日本の商習慣、特に年配の経営者が多い葬祭業界では相当な抵抗があります。角を立てずに本音を引き出す技術は、資料には書かれていない別のスキルです。
【Ugly】 撤退条件の話を契約前にきちんと詰められる会社は、正直かなり少ないです。「うまくいく前提」で契約書を作ってしまい、いざ揉めた時に撤退条件が曖昧なまま、感情的な泥仕合になるケースを何度も見てきました。特にM&A絡みだと、撤退条件を詰めすぎると「最初から失敗を想定しているのか」と相手の心証を悪くするリスクもあり、このバランスは実務上かなり難しい。M&Aの場合は仲介者みたいなのが必要となってきます。
Step 5:収益化の実現とタイムスパンの管理
最後はタイムスパンの話です。
資料が示すロードマップはこうです。
- 0ヶ月〜1年:強みの抽出、戦略立案、提携先探索
- 1年〜1.5年:アライアンス内容の確定・契約締結
- 1.5年〜3年:共同事業の構築・推進、新規売上の発生
- 3年〜5年:損益分岐点の達成、純利益の創出
そして、小規模企業がこの3〜5年を「収益ゼロで耐える」のは事実上不可能だから、自社と同じくらいか、少し大きい程度の中堅・中小企業と組むのが現実的、という結論です。
【Good】 このタイムスパンの提示は良心的です。多くの「アライアンス指南」的なコンテンツは、成功までのスピード感を過大に演出しがちですが、ここは現実的な数字を出している。
【Bad】 ただし、この数字はあくまで「メインシナリオ」であって、業界によって大きくブレます。特に葬祭業界のような規制と慣習が強い業界、あるいは介護・福祉のように行政の許認可が絡む領域だと、3年どころか、最初の契約締結までに1.5年以上かかることもザラです。
【Ugly】 一番言いたいのはここです。「超大企業と組むのは危険、同格か少し大きい相手が現実的」というのは正しいのですが、その分、相手企業自体が3〜5年後に存続しているかどうかも保証がない、ということです。中小企業同士のアライアンスは、パワーバランスの危険は減る代わりに、双方とも体力がないので、どちらかが途中で倒れたらプロジェクトごと消える、というリスクを常に抱えています。この「両者とも脆弱」というリスクは、資料には一切書かれていません。
結論
まとめます。
アライアンスによる新規事業は、
- 自社の強みを言語化し、
- Whyを明確にした戦略を立て、
- 粘り強く候補先を探し、
- 本音で交渉し、仕組み化して合意し、
- 3〜5年という現実的な時間軸で収益化を待つ
という5ステップで進みます。
ただ、今日話してきたように、綺麗な話の裏には、社内政治、キャッシュフローの限界、本音を言えない商習慣、そして双方が脆弱なまま組むリスクという、生々しい現実がセットで存在します。
私自身、葬祭業界のDXやAIリスキリングを広めていく上でも、まさにこのアライアンスの発想を使っています。一人の力、一社の力には限界がある。だからこそ、良い面だけじゃなく、悪い面、醜い面まで含めて理解した上で、それでも組む価値があるかどうかを判断してほしい。
まずアライアンスは小さく回すところからスタートが重要です。
その中でPDCA/OODAなどのフレームワークを高速で回すことです。
ここに資料を添付しておきます。
ぜひご活用ください。
これについても後日、説明したいと思います。
今日はここまでです。また次回お話しします。
PodcastはSoundCloudをベースに、Spotify、Apple、YouTube、Amazon Musicでもお聞きなれます。
「jFuneral」で検索してください。
書き起こしと添付資料はここでしか得られません。
「葬祭ジャーナル」の jFuneral.comをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

