AIエージェントによる米国の労働市場の未来を日本の葬儀社にどう影響を与えるか

米国の労働力における自動化と拡張の可能性の監査

スタンフォード大学からの論文が発表され、それを日本の葬送ビジネスに当てはめた場合を想像してみた。

https://futureofwork.saltlab.stanford.edu

まず、SALT LABというのは: Stanford Social and Language Technologies (SALT) lab studies socially aware NLP である。

Broadly, we research the social aspects of human language (e.g., what is said, who says it, in what context, for what goals), via methods of natural language processing, deep learning, and machine learning as well as theories in social science and linguistics, with the implications of developing interventions to facilitate human-human and human-machine communication.

https://saltlab.stanford.edu/#:~:text=Broadly%2C%20we%20research%20the%20social,implications%20of%20developing%20interventions%20to

これから7000万人の米国労働者がAIエージェントと向き合うことになる。
その結果、我が身の振り方を大きく変更することになってくるだろう。
しかも、この人たちの声はマネージメント層には届かない悲惨な結果の予兆がある。

この論文は1500人のn数を対象に、104種類の職業を調査した内容である。
そして、新しい「WORKBank」というデータベースを構築しAIエージェントが労働市場に与える影響を調査したものである。

WORKBankとは

WORKBankデータベースの構築とタスクの分類に関する図。自動化のゾーン、R&D機会ゾーン、低優先ゾーンに分かれた労働者の自動化要望と技術的能力を示している。
WORKBankの定義

こちらがその論文を要約したものである。

Mapifyによって作成

AIエージェントによる労働市場の再構築と監査フレームワークの導入

従来のAIに関する研究は、主に技術者や企業の利益に焦点を当てていましたが、この研究では「ドメインワーカー(特定の職務の専門家)」の意見を重視しています。

ドメインワーカーの位置づけ

まず「ドメインワーカー」の定義が必要である。

ドメインワーカーとは

特定の仕事や分野で実際に働いている人

「学校の先生」、「サッカー選手」、「パン屋さん」、「葬儀屋さん」
その分野で専門性を持つ職業の人たち

ドメインワーカーについての説明が表示された画像、特定の職業に従事する人々のイラストや写真が含まれている
ドメインワーカーの定義

この論文では、ドメインワーカーの意見を以下の3つの点で中心に据えています。

  1. AIに対する要望を直接調査
    • 論文では、米国労働省のデータベースに掲載されている844の職務タスクについて、1,500人のドメインワーカーにアンケート調査を行いました。
    • AIに「完全に自動化してほしいか」という要望と、「人間とどの程度協調してほしいか」という要望の両方を尋ねています。
    • この調査により、AIの導入が労働者の仕事への満足度や雇用不安にどう影響するか、といった生の声を集めています。
  2. 自動化への態度と理由を分析
    • アンケートの結果、ドメインワーカーの約46%がAIによるタスクの自動化に前向きな姿勢を示しています。
    • その主な理由は、「AIに退屈で繰り返しの多い仕事を任せることで、より価値の高い仕事に時間を使いたい」というものでした。
    • これにより、AIが人間の仕事を奪うという見方だけでなく、人間の能力を補強・拡張するツールとして捉えられていることがわかります。
  3. AI研究・投資とのギャップを指摘
    • ドメインワーカーのAIに対する要望と、AI専門家による技術的な実現可能性を比較し、AI研究や投資が必ずしも労働者のニーズに沿っていないことを明らかにしています。
    • たとえば、多くのワーカーが自動化を望んでいるにもかかわらず、ほとんどAI開発の対象になっていない「研究開発の機会」のあるタスクが存在することが示されました。
    • これにより、AI開発がより社会的に有益な方向に向かうためには、ドメインワーカーの意見を積極的に取り入れる必要があると提言しています。

ドメインワーカーとAI専門家の視点を考慮した労働市場の再構築フレームワークの説明を含むインフォグラフィック
双方の意見が対立する

日本の葬儀社に当てはめた場合、どのようなことを想像できるか

日本の葬儀社で働くスタッフが葬儀用の花を整えている様子を示す画像で、緑の背景にタイトルが表示されている。
何ができて、何をやってはならないか

この視点を日本の葬儀社に当てはめた場合、いくつか注意することがある。
これは日本の法律に抵触しているか、社会的に許されることなのを先に考える必要がある。

とくに、日本の火葬許可書の取り扱いは厳格である。
自治体によっては、その手続を行えるのは個人ではなく、自治体に登録した葬儀社のみ受け付けているところがある。
これは明らかに犯罪防止策である。
とくに神奈川県川崎市は人口が多いだけでなく、犯罪も多い場所である。
そのようなところで不慣れな人だけでなく、悪意がある人(犯罪者)が死亡届を出して受理されてしまうと大変なことが起きてしまうのはいうまでもない。

自動化の「グリーンライト」ゾーン: AIに完全に任せたいタスク

Automation “Green Light” Zone(自動化「青信号」ゾーン)

  • ワーカーの要望と技術的能力がともに高いタスク
  • AIエージェントの導入が最もスムーズに進み、生産性と社会的な利益の両方を期待できる領域
自動化のグリーンライトゾーンに関するスライド。AIに完全に任せたいタスクとして顧客データ管理、日程調整、請求書作成を示している。中央にはロボットアームの画像が配置されている。
全自動化
  • 顧客データ管理: 過去の顧客情報や、打ち合わせ内容のデータベース化・整理。
  • 日程調整: 僧侶、火葬場、親族との日程調整の自動化。
  • 請求書作成: 葬儀費用やオプションの請求書を自動で作成・送付。

AIとの「協調」ゾーン: AIと人間が協力するタスク

R&D Opportunity Zone(新たな商品開発や研究開発機会ゾーン)

  • ワーカーの要望は高いが、現在の技術的能力はまだ低いタスク
  • AI研究開発の有望な方向性を示しており、将来的なブレークスルーが期待される領域
AIと人間が協力して行うタスクを示すイラスト。葬儀プランニングや再販の支援、AIアシスタントがタスクをサポートする様子を描いている。
協調
  • 書類作成補助: 死亡届や火葬許可申請といった厳格な書類について、AIが遺族から聞き取った情報をもとに、下書きや入力フォームへの自動入力を行う。最終的な確認、押印、提出は必ず人間が行う。
  • 式典プランニング: 遺族の要望をAIが分析し、過去の事例やトレンドに基づいたプランを提案。最終的な決定は遺族と葬儀社が対話しながら行う。
  • 弔辞の作成支援: 故人の人柄やエピソードをインプットすると、AIが弔辞の草案を作成。それを元に、遺族が感情を込めた言葉で完成させる。
  • AIアシスタント: 葬儀の準備中に、AIが「次はこれをすべきです」といったタスク管理やリマインダーを提示。人間はAIのサポートを受けながら、タスクを抜け漏れなく進める。

AIに任せない「レッドライト」ゾーン: 人間が主導すべきタスク

Automation “Red Light” Zone(自動化「赤信号」ゾーン)

  • 法的制限があるタスク
  • 技術的能力は高いが、ワーカーの要望が低いタスク
  • AI導入に際しては、ワーカーの抵抗や社会的な問題が生じる可能性があるため、慎重な検討が必要な領域
AIに任せないタスクを紹介するプレゼンテーションスライド。背景には緑色のデザインが施され、中央には麦を収穫する女性の写真が配置されている。スライドには、人間が主導すべきタスクのリストが箇条書きで記載されている。
必ず人間が処理するところ
  • 死亡届・火葬許可申請などの法的な手続き: 申請内容の最終確認、押印、役所への提出。
  • 遺族への共感と傾聴: 遺族の深い悲しみに寄り添い、心情を理解する。
  • エンバーミング(遺体衛生保全): 専門的な知識と技術、そして故人に対する敬意が不可欠。
  • トラブル対応: 予期せぬ事態や緊急事態が発生した際に、状況を判断し、柔軟に対応する。
  • 人間関係構築: 僧侶、関係業者、親族など、多様な関係者との信頼関係を築くこと。

この論文は、AIが労働市場に与える影響について、ドメインワーカーの視点から包括的に分析している。
AI技術の発展を、単なる効率化や自動化としてではなく、人間がより創造的で価値のある仕事に集中できるようにする「協調」の視点から捉え、そのための具体的な指針を提示している点が重要を示している。

日本の葬儀社は人間の行動心理をもっとも重要視する職業であることは違いない。
それゆえに、ここでも幾度か「感動労働者」という定義をしている。

https://jfuneral.com/?s=%E6%84%9F%E5%8B%95%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85

お涙ちょうだいではなく、きちんとお客様を人間として扱うことが重要な職業です。

AIを活用して今後、当社はローコードで作り上げるシステムを提供する予定です。

WORKBankを導入するための監査フレームワークのインスタンス化についての説明が掲載された画像

情報処理スキルの需要の縮小と対人スキルへの重点の移行

改めて、どのようなことが大切か考えることが重要です。
米国みたいに、簡単に労働者を解雇することが許されない日本だからこそ、大切に人を扱うことが重要です。

情報処理スキルの需要の縮小と対人スキルへの重点の移行についての図。

AIを使うことによって、情報処理スキルの需要の縮小と対人スキルへの重点の移行します。

データ分析や知識の更新に関連するスキルは、今日の高賃金職業では一般的ですが(図7の左側に赤色で示す)、高い人間エージェンシーを必要とするタスクではそれほど重要ではありません。

葬儀社だからこそ対人スキルと組織スキルの重要性

人間の相互作用、調整、リソースの監視を含むスキルは、賃金ベースの評価では現在優先されていなくても、高いHASタスクとより頻繁に関連付けられています。

平均して最も高い人間エージェンシーを必要とする上位10のスキルは、対人能力と組織能力から意思決定と品質判断まで、幅広い範囲を網羅しています。

HASタスクというのは Human Agency Scaleを意味しており、自動化を越えたAIエージェントによる人間の仕事の拡張性の可能性やその異なる環境を調査したスケールである。

職業において、人間性が重要なものもあり、人間の最終的な確認と責任を明確にすることで、より現実的なAI活用法を描くことが求められます。


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