Podcast Season 7 Episode 272
2026年5月26日
お墓を建てる人、今どのくらいいると思いますか。

10人に1〜2人です。東証上場で終活・相続関連のサービスを手がける鎌倉新書が運営する「いいお墓」の調査では約17%。残りは樹木葬、散骨、手元供養、納骨堂。最近は「古墳型」なんてものまで出てきて、販売開始と同時に完売したという話も出ています。石のお墓の時代は、もう終わっています。
死に方改革研究者及び旅のデザイナーの和田です。
元葬儀社の社長。今は葬儀専門のシステムとマーケティングをやっています。
先週は渋谷で「WEB3と終活」というテーマで講演してきました。参加者はITの最前線にいる人たちです。でも今日の話は、ITが苦手な葬儀社の社長の皆さまに向けた話です。
難しいことは言いません。
問題提起①:お墓の現実

さっき言ったように、お墓を建てる人が激減しています。代わりに何が増えているか。
樹木葬が新規購入の4割以上。一般墓を抜いてトップです。10年前は一般墓が9割だった。それがひっくり返った。勘が鋭い葬儀社の社長なら理由はおわかりですよね。今のお墓の1区画に何基樹木葬のお墓が入れられるかです。
これ、「うちは葬儀専門だからお墓は関係ない」という話じゃないんです。樹木葬を選ぶお客様は、葬儀の規模も変わってきている。シンプルでいい、費用を抑えたい、でも故人の記録はちゃんと残したい。この層を理解できていない葬儀社は、じわじわ客が離れていきます。
問題提起②:エンディングノートの4.4%
先週の渋谷の講演でこんな数字を紹介しました。

エンディングノートを書いている人は何パーセントだと思いますか。東証上場の葬儀社ティアの調査では4.4%です。100人に4人しか書き終えていていない。はじめた人たちの大半は挫折しました。
みんな「やらなければ」とは思っている。でも誰も手を動かさない。英語に「Elephant in the room」ということわざがあります。部屋の中に象がいるのに誰も口にしない、という意味です。日本の終活はまさにこれです。どこから手を付けていいのかがわからない人が残りの95%以上です。
でも葬儀社にとってはチャンスです。エンディングノートを書く人が4.4%ということは、残り95%以上の人は何も準備していないままあなたの会社に電話してくるということですから。
問題提起③:ファックスを止められない本当の理由

よく業界を知らないシステム会社が「DX化しましょう」と言われますが、葬儀社でファックスが止められない理由、わかりますか。お客様の名前やお坊さんが送ってくる位牌に書く梵字の確認のためですよね。
私の知り合いに、経営コンサルタントでドラッカーの入門書を書いた著者の鵫巣和徳(とうのす・かずのり)さんという方がいます。どんな字かというと、食卓の「卓」に、バードの「鳥」と書いて「鵫」。ソシム社から『50代から人生をマネジメントするドラッカーの問い』を出されている方です。
私もこの本、1か月前に手に取ってすぐ読み終えました。難しい経営理論を現代の言葉で整理してくれています。葬儀社の社長のみなさんにも間違いなく響く内容です。書き起こしのページにAmazonのリンクを貼っておきます。
この「鵫」(トウ・ヤマドリ)という字、パソコンでいくら打っても普通には出てきません。JIS第4水準の文字で、当用漢字の外にあるからです。ファックスで手書きで送ってもらえれば目で確認できる。でもメールやシステムに入力しようとすると、文字化けするか、別の字に変換されてしまう。たった今、Google AI検索にまったく違う文字として認識されてしまいました。
葬儀という仕事は、故人の名前を一文字も間違えてはいけない。だからファックスが残っている。これは現場を知っている人間にしかわからない話です。DXを進めるときも、こういう現場のリアルを無視したシステムは絶対に使われない。私はそこを踏まえた上で提案しています。
解決策:3つのステップ
じゃあ、何から始めればいいか。3つ言います。

一つ目、顧客名簿をデジタルにする。 ただしファックスはすぐに止めなくていい。名前の確認用として残しておいていい。でも、いつ・誰が・どんな葬儀をしたか、これだけはExcelでもいいからまとめる。紙のバラバラのメモをやめることが最初の一歩です。他にお勧めできるアプリもありますがまず、Excelからでもいいのではじめてください。
二つ目、樹木葬のお客様に年1回連絡する。 電話でもLINEでも。法要の案内でもいい。それだけで「あの葬儀社は気にかけてくれている」という印象になります。これがリピートと紹介につながる。
三つ目、デジタル墓誌を選択肢に加える。 QRコードをお墓に設置すると、スマホをかざすだけで故人の写真や動画が見られるサービスです。私はスマートシニア社の販売代理店もやっていますが、このサービス、樹木葬や合祀墓を選んだお客様 -「石のお墓はいらないけど、記録は残したい」という人 -に非常に刺さります。まだ導入している葬儀社が少ない。今なら差別化になります。
クロージング
その鵫巣さんのドラッカーの本に、こういう考え方があります。経営者が本当に問うべきは「我々の事業は何か」ではなく、「顧客にとって価値とは何か」だという。

葬儀社が今、問い直すべきもまさにこれだと思います。石のお墓を売ることが価値なのか。それとも、故人の記録を残すことが価値なのか。顧客はもうすでに答えを出しています。
難しいことはしなくていい。まず一つだけやってみてください。お客様の名前と葬儀の日付をExcelに入れるだけでもいい。それが御社のデジタル化の第一歩です。
詳しく話したい方は、jfuneral.comかLINE (@jfuneral) で。壁打ち、無料でやります。また次回。
ご清聴ありがとうございました。
書き起こしページ用
鵫巣和徳『50代から人生をマネジメントするドラッカーの問い』(ソシム)
https://www.amazon.co.jp/dp/4802615213
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