Gordon Moore(ゴードン・ムーア)氏をご存知だろうか?

ちょっと古い話で恐縮(その都度に書けばいいのですが)、ゴードン・ムーア氏をご存知でしょうか?

1929年1月3日に生まれて、約2ヶ月前の3月24日(日本時間3月25日)にお亡くなりになりました。
私みたいに、コンピュータや半導体を学んでいた人は誰しも知っている名前です。
さらにちょっとコンピュータに興味がある人なら「ムーアの法則」ってのを聞いたことがあるかと思います。
この法則、一言でいえば24ヶ月ごとにCPUの集積度が倍増、そしてパワーも倍増するという内容です。
私としては追悼みたいな記事で、ご了承願います。


ムーア氏は1929年1月3日に生まれで、約2ヶ月前の3月24日(日本時間3月25日)にお亡くなりになりました。
御歳94歳でした。
私みたいに、コンピュータや半導体を学んでいた人は誰しも知っている名前です。
さらにちょっとコンピュータに興味がある人なら「ムーアの法則」ってのを聞いたことがあるかと思います。

さて、今日はお葬式の中での半導体のお話です。

Gordon Moore氏 お亡くなりのお話

Mooreさんってどんな人だったか・・・
多くの人はインテルの創設者の一人でシリコンバレー(当時は砂漠から–砂はCa Si O→カルシウム・シリコン・酸素の結合でカシオさんと憶えておくといいでしょう)で巨大半導体産業を作り上げた一人でもあります。

インテルの前にフェアチャイルドセミコンダクター社も1957年に創立させていたことはあまり知られていません。
氏は博士号取得後にショックレー半導体研究所に所属し(後にITTに売却され、そもれ解散・・・ITT社は別の軍事機密漏洩問題で起訴され刑事責任において有罪判決をくだった最初の会社ですでに解散されている)、退職後にフェアチャイルドセミコンダクター社を共同で創立。
実際、このショックレー研究所がシリコンバレー第1号の半導体会社でもあり、今あるトランジスタの開発者であるWilliam Shockley氏のもとでインテル共同創立者のロバート・ノイス氏と働いていた。

さて、そのフェアチャイルドセミコンダクター社ですが、私が学生のころMOSFETトランジスタとかを作っており、さらにパワートランジスタなども出荷していて、高電圧をかけても大丈夫な製品を開発していました。
現在、そのフェアチャイルドセミコンダクター社も存在せず、知的財産だけ買われてONSEMI社になっています。

余談は長かったかな?

さて、そのムーアの法則だが、インテル社でCPUを当時開発していたころに、一つの提言を作り出した。
しかも、1965年代にMOSFETのIC回路が著しい進化を遂げており、集積率が増していることに気づいた。
そして、1975年までには一つのLSI(大型集積回路)に1/4平方インチに65,000個のICチップが乗っているだろうと提言した。実際、1975年当時の数は65,536個だった!

これがインテル社からムーアの法則に関しての情報である:
https://www.intel.com/content/www/us/en/history/virtual-vault/articles/moores-law.html

According to the law, by 1975 a state-of-the-art microchip should have been capable of containing up to 65,000 transistors. The actual count for a new series of memory chip released that year was 65,536 — Moore had been accurate to within a single percentage point over the span of a decade. 

Intel homepage

さて、何故私がここまでGordon Moore氏にこだわるのだろうか?

半導体を勉強した人なら必ずしもぶつかる壁がある。

私も大学のとき、LSIを勉強していて様々なOS(VAX-PDP11、IBM VMS/VPS、AT&T BELL UNIX、Sun Solarisなど)を触る機会があった。その中で面白いというのか、絶対設計ミスだよなと思ったCPUがNS32032であった。
大学のシステムの一つがNS32032で、当時BSD4.3で利用されており、8CPUで動いていたが、常に1CPUのみ稼働・・・え?

これは、インテルの80286に似ており、外部32ビットバスを持ちながら内部24ビット!
つまりメモリ空間が16MBが限度。
インテルはこれの問題を認識しており、80386を次期に投入、更にコプロセッサを省いたSX版とかも(DXとSXに分けられた)。これらのCPUを使うUNIXシステムで常に大学のコンピュータ処理でボトルネックを起こしていた。

ちなみに、大学時代、どれくらいCPUパワーを奪えるかのようなテストをしていたから(迷惑なヤツだった)気づいた案件でもあった。

このGordon Moore氏の発言は当時「法則」とは呼ばれていなく、1975年にそのように言われるようになった。

80年代に日本が単なるトランジスタからCMOSになって、アメリカの半導体産業を追い抜いた。
有名なCPUがNECのV30でもある。皆さんが知っているNEC PC-9801シリーズに搭載されたマイクロプロセッサ(MPU)である。

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ムーア氏はこのようなあらゆるCPU/MPUの基盤を作り上げた人物である。
ちなみにCPUとMPUの違いはMPUは他の集積回路も搭載していると思っていただければいいだろう。
当時は演算処理には前述のコプロセッサなどは別であった。インテルの場合、8086と8087の組み合わせとかで数値演算はコプロセッサに処理を投げかけていたが、80486になり、P5(商標が取れず「80586」にはならなかった Pentium)になってから統合されるようになり、今ではグラフィックボードのGPUが処理をする時代になった。


さて、氏に関してインテル社も追悼の場を設けているのでご参照願いたい

https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/gordon-moore-obituary.html

SANTA CLARA, Calif., March 24, 2023 – Intel and the Gordon and Betty Moore Foundation announced today that company co-founder Gordon Moore has passed away at the age of 94.   

The foundation reported he died peacefully on Friday, March 24, 2023, surrounded by family at his home in Hawaii. 

Moore and his longtime colleague Robert Noyce founded Intel in July 1968. Moore initially served as executive vice president until 1975, when he became president. In 1979, Moore was named chairman of the board and chief executive officer, posts he held until 1987, when he gave up the CEO position and continued as chairman. In 1997, Moore became chairman emeritus, stepping down in 2006. Intel homepage

Intel homepage

そして、「ゴードン・ベティ・ムーア財団」でも追悼の意をしめしている。

https://www.moore.org/article-detail?newsUrlName=in-memoriam-gordon-moore-1929-2023

Andy Grove, Robert Noyce, Gordon Moore
Gordon & Betty Moore Foundation

ムーア氏はインテルという巨大な会社を上記のGrove氏とノイス氏、その前に、フェアチャイルドセミコンダクター社、さらにトランジスタを開発した一人であるショックレー氏と一緒に働き、研究してきた人物である。

今のインターネットは通信速度の発展と回線コストの下落、そしてCPU処理能力が起因しているから我々が何も考えることなく使えていることは過言ではない。
そんな産業を築き上げてきた人物である。

二ヶ月後にやっと私なりの追悼の意を示すことができました。
ご冥福をお祈りします。