【葬祭ジャーナル】預けたお金は戻ってくるのか

Podcast Season 7 Episode 287

有限会社ワイ・イー・ワイの和田です。
死に方改革研究者及び旅のデザイナー、あの世への旅です。
今日は2026年11月3日 火曜日、文化の日です。
高齢おひとりさまの身じまい問題 第2回 預けたお金は戻ってくるのか

今回の狙いは:

預託金の仕組みと費用構造を理解してもらい、「解約しても半分しか戻らない」契約の問題点を具体例でお話します。

構成として:

  1. 前回の振り返り
  2. なぜ預託金が必要なのか:口座凍結
  3. 費用の三層構造
  4. 東京都の紛争事例
  5. 相談件数と平均225万円
  6. まとめと次回予告

さて前回は、身寄りのない高齢者を支える民間事業者が400社を超えている話をしました。
今回はお金の話、「預託金」です。


死後事務委任契約とは、亡くなったあとの葬儀、納骨、役所の手続き、施設費や公共料金の精算を、生前に誰かへ頼んでおく契約です。ただ、人が亡くなると銀行口座は凍結されます。凍結される理由は勝手に引き出して相続トラブルを回避するためです。
そこで2019年7月から施行された法律で「預託金の仮払い制度」を利用し、1口座上限150万円までがありますが、普通は頼まれた側は本人の口座から勝手にお金を引き出すことはできません。従って、とくに身寄りのないおひとり様は生前に第三者にお金を預けておく。これが預託金です。

費用は三つに分けて考えてください。

  1. 契約書の作成費と、引き受ける人への報酬
  2. 葬儀や納骨などの実費として預ける預託金
  3. 信託を使う場合の手数料

それぞれの金額の目安は、書き起こしに載せました。ここで覚えておいてほしいのは一点だけです。預託金が総額の半分以上を占めることも珍しくない。金額が大きいほど、失ったときの痛手も大きくなります。

具体例を一つ紹介します。東京都の消費生活総合センターが紛争の解決を委ねた事例です。
50代の女性が、身元保証と死後事務委任をあわせて約190万円の契約をしました。契約書では、1年以内の解約なら5割を返金、その後は年ごとに減り、5年を過ぎると返金なし、となっていました。

問題は、解約を申し出た時点で、サービスがほとんど提供されていなかったことです。何も受けていないのに半分しか戻らない。東京都は、事業者に生じる平均的な損害を超える違約金は消費者契約法で無効になる、という観点から問題を提起しています。

こうした相談は全国で増えています。国民生活センターに寄せられた終身サポート契約の相談は、この10年ほどで約3倍になりました。東京都内でも、2024年度の平均の契約金額は225万円。相談者の多くは60歳以上です。件数の推移は書き起こしにまとめましたので、あわせてご覧ください。

葬儀の現場にいた人間として言えば、225万円は一般的な家族葬の費用を大きく上回ります。それだけの額を、中身が見えないまま先に払っている人がいるということです。
ある意味、冠婚葬祭互助会への割賦にて葬儀の前払い制度も同様で、場合によっては半分も戻ってこない例が相次ぎまして問題になりました。

死後事務委任の費用の目安と東京都の紛争事例は書き起こしましたので、jFuneral.comのエピソード287を見てください。


第2回の数字と根拠

死後事務委任の費用の目安(士業・事業者の解説記事による一般的な目安。契約により大きく異なる)

  • 契約書作成費と報酬:約50万〜100万円
  • 預託金(葬儀・納骨・施設費・公共料金などの実費):約50万〜150万円
  • 信託を使う場合の手数料:信託会社ごとに異なる

東京都の紛争事例(2026年1月に東京都消費者被害救済委員会へ付託)

  • 申立人:50歳代女性。身元保証と死後事務委任をあわせて約190万円で契約
  • 解約時の返金条件:締結後1年以内は5割返金、以降1年ごとに年々減っていき、5年経過後は返金なし(減価償却してしまうことです)。
  • 論点:解約時にほぼ未提供のサービスについて、消費者契約法9条1号(平均的な損害を超える違約金は無効)に当たらないか(注意せねばならないのはプライベートバンキング同様の「管理費」です)。

ここで少し触れておきたいのが消費生活センターへの相談件数です。

東京都内の消費生活センターへの相談

  • 2023年度:前年度の約1.7倍
  • 2024年度:149件、平均契約金額225万円
  • 2025年度:10月末時点で67件(速報値)
  • 2021年度以降、相談者の7〜8割が60歳以上。全国の相談件数(国民生活センター調べ、朝日新聞2026年10月6日報道):2016年度137件、2024年度421件、2025年度406件。一次資料は国民生活センターの公表で要確認

出典:東京くらしWEB「高齢者等終身サポート契約に係る紛争」、消費者契約法(e-Gov)

ここから恒例の良いこと、悪いこと、ヤバイことを説明いたします。

  • Good: 預託金があるから、口座が凍結されても葬儀や納骨が滞らない。
  • Bad: 預けたお金が「本人の財産」なのか「事業者の売上」なのか、契約上あいまいになりやすい。
  • Ugly: 「事務費用として消化済み」と言われると、利用者側に内訳を確かめる手段がほとんどない。

次回は、お金を払ったのにサービスが受けられなかった、さらに事業者そのものが倒産した、という最悪のケースを扱います。

今回もご清聴いただきありがとうございました。
以上です。
お届けは有限会社ワイ・イー・ワイ、死に方改革 jFuneral.com 主催の和田でした。

概要欄の出典候補: 東京くらしWEB 紛争付託事例、消費者契約法(e-Gov)


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